【Q】
この間書店で見かけた「呼吸入門/斎藤孝」などを読んでみたところ、共通する部分や共感するところが多く感じられます。そこでその呼吸法「丹田呼吸法」というのがあり、それなども取り入れたりしながら、ソフトも併用し訓練しています。その傾向なのですが、エムウェーブで提唱している呼吸法で行うと確かに数値の結果はよい傾向を示しますが、「丹田呼吸法」でシステムを測定すると、あまり良い結果となりません。極端に悪いわけではないのですが、ソフトでよい結果を出すために呼吸を合わせる傾向になりがちなような気も若干しております。
担当者の方が、「呼吸入門/斉藤孝」についてご存知かどうかはわかりかねますが、一度さらっとでも見てもらって意見など頂けたら幸いです。私からみれば、とても共通・共有する部分が感じられるので、システムでの点数の結果だけで判断するのは少しどうかとも考えている部分もございます。旨く両方を使い分けられる方法などあればなどと思案しているところです。
【A】
丹田呼吸法などの多くの呼吸法は、「吐くこと」に時間をかけます。これは、人間の体は、息を吐くときに、副交感神経が優位になるからです。つまり、吐くときに、体が弛緩し、リラックスできるのです。
このような理由から、多くの呼吸法は、5秒で吸って、15秒で吐く、というような、「吐く」を重視する指導を行います。
純粋にリラクセーションのための呼吸法であれば、このように吐くことに時間をかけることは理にかなっています。
ところが、ハートマスが推奨するコヒーレンス法は、単なるリラクセーションのためのものではなく、「リラックスした緊張状態」を作ることを目指しており、ここが大きく違う点です。
仕事・学習・スポーツで使われているのはこのためです。このような目的でのメンタルトレーニングに必要なのは、ただ弛緩させることではなく、弛緩と緊張を「適度なバランス」に置くことです。そして、注意集中が高まった状態を作ることを目指しているのです。
このように、丹田呼吸法とコヒーレンス法は、目指すところが少し違うということを確認してください。
それではなぜ丹田呼吸法では、エムウェーブの点数が低いかというと、丹田呼吸法では、心拍リズムのパターンが、特異なものになるからです。これは、前述のとおり、副交感神経が優位になる時間が多くなるからなのです。
コヒーレンス法が、「吐く」と「吸う」を同じ時間に設定しているのは、交感神経(=緊張)と副交感神経(=弛緩)のバランス配分を調整し、規則正しい心拍リズムを作ることを目指しているからです。
エムウェーブは、心拍リズムの「一貫性(コヒーレンス)」のレベルを評価しています。言葉を変えると、交感神経と副交感神経のバランスを測定しているのです。この観点から測定するために、副交感神経が優位になってしま丹田呼吸法の場合には、エムウェーブのスコアが低くなってしまうのです。
だからといって、丹田呼吸法が効果がない、といっているのではないのです。繰り返しますが、純粋に、目指しているところが違うだけなのです。そして、フリーズフレーマーの測定方法とは相性が合わない、ということです。
もしかしたら、丹田呼吸法も「注意集中」を謳っているかもしれませんが、その目的を果たすために、コヒーレンス法が良いのか、丹田呼吸法が良いのかは、これまでの説明から、あなた自身でご判断下さい。
ところで、コヒーレンス法を「呼吸法」として考えられているとしたら、それはコヒーレンス法を少ししか活用できていないことになります。コヒーレンス法の最大の利益は、「肯定感情を想起すること」によって得られます。呼吸部分は、そのための「前座」に過ぎないのです。
安定した点数が最近はでるようになったとのことですので、次は「肯定感情の想起」を目指してください。これができるようになると、20分以上の長時間でも、緑をキープできます。