宮里藍・ソレンスタムを育てたゴルフコーチの活用法

ピア・ニールソンとリン・マリオットは、スウェーデン出身のゴルフコーチです。同じくスウェーデン出身であり、5年連続で米女子ツアーの賞金女王を達成したアニカ・ソレンスタムを育てたことでも有名です。

現在、ピアとリンの2人は、アメリカ(アリゾナ州)においてVision54 Coaching for the Futureというゴルフ教室を共同で運営しています。

ピアとリンは、2002年にハートマスの認定トレーナーとなり、現在では、ゴルフ教室の生徒たちに、感情面のトレーニングの一貫としてエムウェーブを推奨し、2005年に執筆した書籍において、ほぼ1章を割いて、エムウェーブとハートマスを詳細に取り上げています。

その書籍が2006年11月に翻訳出版されました。現在、アメリカツアーに参戦中の宮里藍も、ピアとリンに師事しており、その日本語版である『ゴルフ「ビジョン54」の哲学 楽しみながら上達する22章』には、宮里藍が寄せ書きしています。今回は、その書籍の一部を紹介したいと思います。

ゴルフ本ですが、ピアとリンの素晴らしいところは、ゴルフの技術だけでは、ゴルフで素晴らしい成果を達成することはできないとしているところで、感情面での人間の成長をも指導していることでしょう。

第15章 ハートゴルフ - ゴルフの上達はすべての積み重ね

私たちは生徒の選手たち全員に「ハートゴルフ」を体験してもらおうと取り組んでいる。(略)このゴルフの目的は、コヒーレンス作用をフル活用して最大能力を引きだし、それぞれの54(*1)を達成すること。それはすべてのショットを完璧に打つという意味ではなく、頭と心を協調させて、肝心なときに明快な思考で冷静に最高のショットを生みだすということだ。明瞭に考え、心から勇気をだしてプレーできるようになろう。

長い目で見れば、それはゴルフを愛することであり、その愛情の深さが成果に表れてくる。研究では、プレーへの情熱と目的を見いだして養うことによって、調子が悪くスコアが伸びないときにも本能的な意欲が維持されることがわかっている。自分にとってのゴルフの楽しみを見いだし、それを心から追い求めよう!私たちは「クイック・コヒーレンス(*2)」というコーチ法を取り入れている。これはハートマス研究所のドック・チルドリ氏が考案した手法だ。あなたの心探しに役立つだろう。やり方を説明しよう。

<中略>

ハートマス研究所のこの感情調整法は、ゴルフコースで調子を崩しかけたときに気持ちを立ち直らせてくれる。同様に、日常生活のストレスのせいで自分を見失いかけたときにも効果的だ。会議前、運転中、そのほかの場面でもっと頭を明瞭にして仕事に取り組みたいときにはいつでも、この手法を役立ててみよう。

ゴルフでの具体的な役立て方としては、心臓呼吸法をコースへ向かう途中に練習したり、ウォーミングアップの一部に取り入れたりすると良いだろう。ほかにも、プレショット・ルーティン、ポストショット・ルーティン、前の組の遅れで待機中に緊張が高まりだしたときにも役立てられる。この手法は、恐れ、不安、怒りを払いのけ、調和を取り戻してくれる。是非試してみよう!

もう1つ、ハートマス研究所の人々は画期的な素晴らしい技術を開発した。それが双方向学習システム「エムウェーブ」だ。この技術は、手と目の連動作用の促進、感情の制御、集中力の向上を目的に、軍操縦士から有力スポーツ選手まで、あらゆる人々に役立てられている。

今日ではごく一般の人々でも自分のゴルフスイングをビデオに録画し、実際の動きを画像で詳細に確認することが当たり前になっている。その画像がどんなにたくさんの言葉よりも多くを語っていることは認めるけれど、うまくスイングできない精神状態のときに、それを見て得られるものがあるのだろうか?

最大の成果は、スイングと心の波動が調和していなければ生み出せない。映像と同様、自分の心のリズムを見ることも重要ではないだろうか。「エムウェーブ」ソフトウェアは、感情の動きをリアルタイムで私たちに見せてくれる。

<中略>

ゴルフでは悪いショットが起こる。人生でも悪いことが起こる。どちらにしても、乗り越える鍵は、いかにそのようなときの落胆に向き合うかということだ。どれだけ準備し、練習し、努力したとしても、自分に降りかかることをすべてコントロールできはしない。そういうふうにできているだけのことだ。自分で決められるのは、起こったことへの対処の仕方。それがゴルフ競技のみならず、人生で成功するための鍵でもある。
(*1)
54とは、ゴルフの18ホールを全てバーディーとしたときのスコア。実際にはほぼ達成は不可能だが、限界を自ら作らずに、挑戦し続けるための目標として、ピアとリンの2人が考案し、自らのゴルフ哲学として、生徒たちに指導している。宮里藍はサインを書くときに、Ai54と付け加えている。

(*2)
本サイトで紹介している「コヒーレンス法」のこと。

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