学生の「数学」ストレスの削減に取り組んだシンシナチ大学の事例

シンシナチ大学クレモント校では、看護学や外科技術などのヘルスケア専攻の入学者に、「数学」のクラスについてこれず、専攻を変えてしまう学生が多いことに頭を悩ませていました。

この問題に取り組んだのが、ビスロキー教授(数学)とレスリー教授(心理学)でした。ビスロキー教授は、コヒーレンス状態では、数学の問題に取り組むにあたって、学生の「直観力」が向上し、公式などを上手に適要させることができるようになることを、経験的に感じ取っていました。そして心理学のレスリー教授に依頼し、学内にエムウェーブ教室を開設したのです。

ビスロキー教授は、数学クラスの受講者に対して、2週間に1度、レスリー教授のエムウェーブ教室に顔を出すように薦め、そこでストレスが、どのように身体やパフォーマンスに影響を与えるのかについて、また、ストレスをどのように解消していくかについて、エムウェーブを活用しながら講義を行いました。

現在では、多くの生徒が、教室内だけでなく、日常生活の中で、コヒーレンス法などのハートマスの感情マネジメント法を実践しています。

【補足】
コヒーレンス法は、いわゆるリラクゼーション法ではありません。リラクゼーション法は、緊張状態によって交感神経が優位になっている状態から、副交感神経を優位にさせるためのものであり、身体を「弛緩」させる点では効果があります。

但し、勉強・仕事・スポーツ・創作などの分野において、身体の「弛緩」状態はあまり理想的ではありません。これらの分野においては、「緊張/弛緩」がバランスよく取れている状態、つまり、コヒーレンス状態のほうが、ベターであるといえるのです。

以前のメールニュースでも取り上げたとおり、コヒーレンス状態のほうが、通常のリラックス状態よりも、集中力・注意力・区別力・反応力などが向上していることがハートマスの実験からも分かっていますが、今回紹介した学校での事例は、それを現場・応用分野で証明しているものといえるでしょう。

しかし、これだけでは、たった3週間のプログラムで、数学力が35%も向上したことへの説明にはなりません。やはり、「卒業試験」を目の前にして、「不安・緊張」状態に陥ってしまった生徒は、まともに問題文を読むこともできずに、実力を発揮できなかっただけで、その状態から脱出できる「スキル」を教えたことが、学力向上の大きな要因だったことは間違いないでしょう。

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