これこそストレスの解決策か?Part1

これこそストレスの解決策か?Part1

(The Independent 記事)

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ハートマスは、燃え尽きかけている企業管理職の間で、ハイテクなストレス管理テクニックとして始まりました。今では、生徒からスポーツのスター選手まで、ハートマスの驚くべき効果を実感しています。ジェローム・バーンが調査しました。
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2ヶ月前、ウォーキンハムの全寮制で成績優秀な生徒が集まる女子校であるホルト校を訪れた人は、一風変わった光景を目にしました。90名の6年生以下全ての生徒が、大きな部屋で静かに座りながら、5秒で吸って、5秒で吐くといった少し変わったリズムで呼吸をしていたのです。しばらくすると、その女生徒たちは、「楽しみ」や「愛しさ」を感じたときのことを追体験するよう、そして呼吸を続けながら、その体験を想起するように奨励されたのです。

この呼吸エクササイズは、中世の修道院ならともかく、GCSEのような全国統一試験で結果を出さなければいけない学校においては、なんとなく場違いなものと思われるかもしれません。ところが実際、アベマリアなどの宗教的真言を朗読するときに、自然とこれと同じ呼吸リズムに陥るものなのです。

あなたが今学期に試験を迎える子供を持ている親であれば、昔から伝わるテクニックであり、デジタル時代のパソコンとソフトウェアと結びついた、この「ハートマス」として知られるシステムを教えておけば良かった、と思われるかもしれません。

ハートマスは現在、強い印象を与える結果を残しながら、イギリス国内の複数の学校で採用されています。保護者の夕方の会話において鍵となる質問は、今のような「お宅では優れたIT環境にありますか?」から、「お宅ではハートマスを教えていますか?」になるかもしれません。

これらのテクニックを実験しているのは学校だけではありません。既にこれまで、数千人の企業管理職がこれらのテクニックの訓練を受けていて、胃が痛くなるような会議の前に、人知れず微妙に呼吸を変えているのです。ゴルファーのようなスポーツ選手も、大事な場面で集中力を維持できるようにハートマスを使っています。心理学者のなかにも、ハートマスを、不安や軽度の抑うつに対処できる、お金がかからず、薬も要らない方法だと信じている人がいます。ハートマスは、リーダーシップの鍵となるスキルであるだけでなく、アンチエージングにも役立つという憶測まで生まれています。

ハートマスに傾倒した一人が、ホルト校の主任教師であるスザンヌ・リチャーズ女史です。

「最近では、生徒たちはたくさんの試験を受けなければならず、パニックを起こすことなく試験を乗り切ることができるように指導できるものであれば、とにかく試してみる価値があると思ったのです」

リチャーズは、昨年のクリスマスにハートマスに出会いました。「とても素晴らしくて、非常に感激しました。私はゴルフが大好きでハンデは10でしたが、ハートマスのあとにハンデは2になったのです」。

実際、リチャーズは非常に感銘を受けたので、次の学期には、彼女の部下の教師たちがハートマスのトレーニングを受けられるように手配しました。

「だいたい25人が受講しました。何人かはストレスに本当に上手に向き合えるようになったと報告してくれました。また別の何人かは不眠症が改善したそうです」

呼吸法や瞑想といった一見似たようなテクニックと、ハートマスを明瞭に区別するのが、指先に装着されるセンサーです。このセンサーは、心拍変動(心拍のゆらぎ)として知られる心拍のパターンを記録します。心拍変動は、後で詳しく説明します。

「センサーからのデータはコンピュータプログラムに送られ、そうするとギザギザの線が、スクリーンを繰り返し上に行ったり下にいったりするのが見えるでしょう。ストレスをコントロールしようとするとき、そこで何が起こるのかが興味深いのです」

ハートマスの潜在可能性を確信していたので、リチャーズはまずは生徒たちにも実行してみることにしました。トレーニングを開始する前に、ホルト校の女生徒たちは、注意力・ワーキングメモリー(短期記憶力)、反応力などのコンピュータ化された一連のテストを受けました。

「ハートマスの効果がどれくらいであるのかを評価するためにも、今年の後半に改めて同じテストを受けてもらう予定です」

リチャーズにとっては、ハートマスの効果によってもたらされたゴルフの上達は、想定外のボーナスでした。しかし、ライダーカップ主将でもあるプロゴルファー、イアン・ウーズナムにとっては、ゴルフの上達こそが主な目的です。ただウーズナムは、ハートマスが、彼を長い間苦しめた時差ぼけによる睡眠障害を改善させ、ストレスに上手に対処できるようになったと報告しています。

「試合後のホテルでその日のプレーを振り返るときに、これまでのようにじたばたすることがなくなった」

しかしウーズナムは今でもゴルフコース上でストレスに対処できるようになるためにハートマスを訓練しています。それを確実なものにしたいらしいのです。現在、彼を悩ませているのが、この秋のライダーカップで予定されているスピーチです。

「考えるだけで固まってしまうけれども、ハートマスで乗り切れると思う」

もしハートマスのテクニックが、日常的な緊張の解消に役立つのであれば、もっと深刻な心理的問題を抱えている人たちにとっても効果があるかもしれません。現在、ブラックバーンにあるダーウェン・プライマリー・ケア・トラスト病院では、ハートマスが不安や軽度の抑うつと診断された患者にとっての治療法となりうるかどうかについて調査をしているところです。

<part2に続く・・・>

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