これこそストレスの解決策か?Part 4(最終回)

これこそストレスの解決策か?Part 4(最終回)

今の段階では、ハートマスが長寿のための秘訣であると真剣に提案している人はいませんが、プラスの方向に自分の生理状態を変容させることを学ぶことによって、あなたがより健康的になれるというのは、明らかに理にかなっています。このことが単なる空想ではないことは、HRVと連動して生産され、数年前に可能性のある「若返り薬」として注目を浴びたホルモンにあります。それはDHEA(*1)と呼ばれ、やや流行遅れですが、今でもインターネットで購入することもできます。

DHEAは、エストロゲンやテストステロンといったその他のホルモンにとっての、基礎的成分となるもので、その分泌量は、年齢を重ねるにつれ、急激に減少します。小規模ではあるものの複数の研究調査からも、DHEAサプリメントの摂取によって、抑うつレベルが下がる、痩せるなどの効果や、心臓疾患の可能性が低くなることが確認されています。

HRVを高めることはDHEAの生産を増やします。というのも、DHEAはストレスホルモンであるコルチゾールのバランスをとるものだからです。コルチゾールは、私たちがストレス状態にあるときに体中に蔓延するホルモンで、長期的には、体に害を及ぼします。ハートマスによって、リラクセーション反応のスイッチを入れ、HRVの周波数を変えることで、私たちはDHEAレベルも押し上げることができるのです。

また、推論的に導かれるハートマスの別の効果は、あなたのリーダーシップを高めることにあります。前述のヤードリー・ジョーンズ医師は、ハートマスがあなたに、ある種のリーダーシップの特性を模倣することを可能にさせると指摘しています。

「リーダーはストレス状況下においても、きちんと機能する特別の素質を持っているように思えます。その土台となっている何らかの生理条件があるはずであり、それが、HRVトレーニングによってもたらされる心拍の一貫性であることも十分に考えられるのです」

もちろん、これらの多くは推論的なものであり、少数の実験において、比較的限られた人数に対する効果を証明しているに過ぎないと、懐疑的な人たちが指摘したとしても、それは間違いではありません。大規模研究がまだだととしても、例えば、偽のモニター表示や偽の呼吸法による実験を行うことはそれほど難しくないのに、適切な二重盲見法による実験も少数です。効果も人それぞれで、誰に一番メリットがあるのかもわかっていません。

しかし、ハートマスに関して明らかに注目すべきことは、より多くのリサーチを必要とすることではありません。もちろん、それに越したことはありませんが、本当に注目すべきなのは、ハートマスのちょっと変わった使い方にあります。というのも、ハートマスが、1日の終わりに、ストレスや否定感情に対処するやり方を向上する、古代からの知恵と最新の生理学を結びつけた実用的な機器だからです。ハートマスが多くの人にとって効果的であると仮定すると(実際には明らかにそうですが)、これ以上に役に立つものがあるのでしょうか?

学校や病院の診察室において、まだハートマスが活用されていない理由は、私たちの薬への固執です。不安症にはベータ遮断薬、抑うつ症にはSSRIといった抗うつ薬、気分障害の子供たちにはアンフェタミン系の薬など、薬こそが、不快な精神状態を改善する鍵となるものであるという考えなのです。

これこそがハートマスの試験がまだ十分に行われていない理由にもなっています。ジェイミー・オリバー(*2)は、子供たちに適切な食習慣によって健康と生活態度が改善させることが可能であることを証明しています。食習慣だけでなく、それをより良い呼吸と明るい思考に結びつけると、本当に素晴らしいアイデアのように思えるのです。

The End

【補足】

(*1)興味深いのは、DHEAは、ストレスホルモンの代表格であるコルチゾールと、全く同じ副腎皮質の細胞から作られるということ。つまり、ストレス状態では副腎皮質の細胞はコルチゾールを作り出し、そうでないときにはDHEAを作り出しているのです。ある研究者は、この「コルチゾール/DHEA比率」こそが、健康のバロメータになると指摘しています。

(*2)ジェイミー・オリバーは、イギリスでは知らないひとがいない若手カリスマシェフ。サッカーのベッカム選手などとも親しい。近年、イギリスの学校給食改革に取り組んでいる。

 

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