落ち着きを保つためのバイオフィードバックが大流行(前半)

シアトル・ポスト・インテリジェンサー紙が、フリーズフレーマーやエムウェーブを含む、一般向けバイオフィードバック製品について、専門家の活用事例やコメントなどをまとめた記事を掲載したので、紹介します。

シアトルの地元紙だけあり、シアトルに本社があるボーイングでの事例や、ワシントン大学の研究者で、カップルセラピストとして多くの著書があるジョン・ゴットマン教授への取材もあります。

記事の中でも取り上げれていますが、ワシントン大学カウンセリングセンターでは、エムウェーブが設置され、学生や職員が自由に使えるようになっています。

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講演初日の不安を抱える役者のように、キム・デイビーズは、50名もの友人や親類が開いてくれたベイビー・シャワー(*1)に大きな負担を感じていました。

34歳のデイビーズはシアトル在住のソーシャルワーカーです。「当時、私はとてもストレスを抱えていました。そんな状態では、私のために大騒ぎをして欲しいとは思えなかったのです」

ワシントン大学の医師である彼女の夫が、ストレス管理のツールであり、小さいが強力な武器でもある「ストレスエレーザー」という、キャンディー缶よりも小さいバイオフィードバック機器をプレゼントしました。

その機器の恩恵を得るには、血流測定センサーの上に指を乗せ、表示スクリーンのアイコンの動きにあわせて、ゆっくりと呼吸をすることです。15-20分後には、彼女はリラックスを感じていました。

「信じられないくらい役に立ったのです。私はそれをリセットボタンのように感じました。自分を取り戻せた気がしました」

1970年代に流行したバイオフィードバックが戻ってきました。iPodで音楽を選択するくらいに簡単に神経系のトレーニングができる消費者向け機器が次々と発売されたいて、これまでよりも格段と小さくなっています。

何年も前には、バイオフィードバックというと、大掛かりな装置のある実験室へ出向かねばなりませんでした。実験室には、今でもバイオフィードバックのためのスペースはありますが、今では一般消費者でも、自宅や外出先で、実験室でのものと同じような利益を受けることができるのです。

最新の2つの商品は、あなたの手のひらにおさまります。その他のものは、あなたのパソコンにインストールされるソフトウェアとして、指先や耳たぶセンサーをUSBポートに接続して使用します。

どの製品にかかわらず、バイオフィードバックは、それらは1週間に数回、少なくても10-15分程度、継続的に使うことで最も効果が得られます。そのように使うことで、リラクセーションのスキルが深くしみこむのです。

バイオフィードバック製品のメーカーは、売上の拡大という形において、既に大きなフィードバックを受けています。内臓をぎゅっと絞ったり、首をポキポキさせるような緊張が、庶民を襲っているようです。

市販されているバイオフィードバック製品の中で、最も新しく、最も小さい機器である「エムウェーブ」を開発したハートマスの研究責任者であるロリン・マククラティはこう話します。

「ずっと納品遅れが続いています。私たちが予想していたよりもずっと大きなニーズがあったのです。家庭で使う一般消費者向けのバイオフィードバック産業は、今後は巨大になるでしょう」

もしかしたらあまり信じられないかもしれませんが、ご安心下さい。これらの機器は科学的な裏づけがあるのです。様々なバイオフィードバック製品が、ワシントン大学カウンセリングセンター、ワシントン大学付属の養子クリニック、そして実験的に、ゴットマン研究所(*2)のカップルセラピーで実際に使われています。

実際、ボーイングですら、その内の1つであるハートマスシステムを使って、素晴らしい結果を出しているのです。

「ハートマスは本当に強力で効果的なツールでした」

ボーイングの767-400ER型旅客機の製造において、従業員の長時間労働と期日管理と関連しているストレスを取り除くことを目的として、1997年にハートマスの認定トレーナーになったボーイング社のスティーブ・ステファソンはこう語っています。

「私たちは、従業員に対してただ『我慢しろ』と言うだけではなく、その挑戦に見合うような資源を提供したかったのです」

ハートマスは当時まだ、純粋な社員教育機関で、一般向けのバイオフィードバック製品の販売を開始したのは、2000年以降です。それ以前は、バイオフィードバックの準備は大変だったのです。というのも、利用者はシャツをめくり上げて、胸に電線をつけなければならなかったからです。さらに、ボーイングにはバイオフィードバックシステムに見合う能力のあるコンピュータが1台しかなかったので、研修に参加した社員のほとんどが、リラクセーションと肯定感情についてのハートマス技法のインストラクションだけを受けていたのです。

それにもかかわらず、ステファソンは劇的な結果をえました。

「このプロジェクトでのプレッシャーについて考えただけで凍りついてしまった」と話していた社員がいました。2時間の研修のあと、その社員は、解決のために2週間が割り当てられた問題を解決してしまったのです。彼は、創造性豊かな洞察を生みだし、そして、こう言ったのです「おっ、これで解決するじゃないか」

ハートマス技法を継続的に練習したあと、その社員にはさらに別の喜びが待っていました。彼の心臓病医は、高血圧の薬を投与するのを止めたのです。その社員の報告によれば、自分の血圧がノーマルの範囲に落ちるとは信じられなかったそうです。

(*1)
いわゆる出産祝いだが、出産後も何かと大変である妊婦の負担を減らすため、出産前の安定期に行うもの

(*2)
夫婦の会話を15分間聞くだけで、その夫婦の離婚率を90%近く予測できるコミュニケーションの分析法を開発しことで有名。家庭内暴力にも詳しく、世界的に高名なカップルセラピスト。日本語に翻訳された著書も3冊あり。ゴッドマン教授が、どのようにハートマスを活用しているかについては、後半で明らかになります。

 

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